インフォマートは調整一巡、22年12月期は収益拡大基調© Reuters. インフォマートは調整一巡、22年12月期は収益拡大基調

 インフォマート<2492>(東1)はBtoBビジネスを革新するリーディングカンパニーを目指し、国内最大級の企業間電子商取引プラットフォームを運営している。21年12月期は先行投資の影響で減益予想(10月29日に上方修正して減益幅縮小)だが、DXの流れも背景として利用企業数は増加基調である。さらにコロナ禍の影響が和らいで食材流通金額が回復基調であり、積極的な事業展開で22年12月期は収益拡大基調だろう。なお12月16日には鹿児島県奄美市との電子請求書の実証実験開始を発表している。株価は11月の上場来高値圏から急反落の形となったが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■国内最大級のBtoB(企業間電子商取引)プラットフォーム

 企業間の商行為を電子化するBtoBプラットフォームを運営している。受発注は従来の電話やFAXによる受発注業務を電子化したシステム、規格書は食の安全・安心に関わる商品規格書を電子管理するツール、請求書は請求書発行・受取業務を電子化したシステム、商談は全国の食材売り手・買い手が商談できるマッチングサイト、契約書は契約書締結をブロックチェーン基盤上で電子化したシステムである。

 20年12月期の売上構成比はBtoB-PF FOOD事業(受発注、規格書)が76%、BtoB-PF ES事業(商談、請求書、契約書)が24%、その他が1%、営業利益構成比はBtoB-PF FOOD事業が183%、BtoB-PF ES事業が▲83%、その他が▲0%だった。

 飲食店と食材卸・メーカー間のBtoB受発注を主力として、全業界を対象とするBtoB請求書も拡大している。21年6月にはBtoB請求書が公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の電子取引ソフト法的要件認証制度第1号認証を取得した。21年7月には全業界向け受発注のBtoB TRADEをリリースした。

■営業利益率30%以上目標

 中期業績目標に売上高100億円突破、営業利益30億円超、営業利益率30%以上を掲げている。BtoBビジネスを革新する信頼のリーディングカンパニーを目指し、フード事業における圧倒的ポジションの確立、第2の柱である全産業向け電子請求書のデファクト化、ビッグデータなどを活用したFinTechサービスの拡充、他社との戦略連係など事業範囲・規模の拡大に対応するための経営体制強化を推進している。

 さらに将来を見据えた仕掛けとして、既存システム使用料以外の多様な収益源確保(多業界受発注、フード業界縦横展開、海外進出など)や、次世代BtoBプラットフォーム構築に向けた最先端テクノロジーの研究にも取り組む方針だ。21年4月にはDX推進プロジェクト「Less is More.Project」を始動し、本プロジェクトの理念に賛同して共に活動する参画企業の募集を開始した。

 なおFood Techに特化した出資枠(ファンド)を設置し、20年7月には飲食店向け発注予測クラウドサービスのGoalsに出資している。

■アライアンスを推進

 20年8月には電子インボイス推進協議会の趣旨に賛同し、10社と協力して電子請求書の普及に向けた活動を開始すると発表した。23年10月から、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式として、適格請求書保存方式(インボイス制度)が導入される。

 20年9月にはGINKANと協業、20年10月には全国の地方銀行21行とのビジネスマッチング契約を拡大、20年12月にはSCSK<9719>と販売代理店契約を締結、ブラザー販売とシステム連携した。21年1月にはダイワボウ情報システムとディストリビューター契約を締結、21年2月には食品卸企業向け受発注・販促サービスを提供するタノムと資本業務提携、自治体向けクラウドシステムを手掛けるGcomホールディングスと協業した。

 21年3月には、三井物産と共同出資の特別目的会社I&Mを設立して中国フードテック企業のトップAcewillのグループ会社である博君と資本業務提携、NTT東日本とセールスパートナー契約を締結、三井物産グループの東神倉庫と業務提携した。

 21年8月には一般社団法人日本フードサービス協会と連携し、国産ジビエの外食産業向けの販路開拓・拡大を支援すると発表した。BtoBプラットフォーム商談でオンライン商談・展示会の積極活用の場を提供する。

 21年7月には外食産業向け専門の総合食品商社である岩田産業グループホールディングス(福岡市)との代理店契約を締結した。共同で外食産業のDXを推進する。21年9月にはBtoBプラットフォーム請求書と、ミロク情報システム<9928>の中堅・中小企業向けクラウド型ERPシステム「MJSLINK DX 財務大将」のオプション機能AI仕訳とのAPI連携を開始した。

 21年10月には串カツ田中ホールディングス<3547>との業務提携、および合弁会社Restartz(リスターツ)設立を発表した。外食産業の店舗運営の生産性向上を目指し、共同で店舗運営プラットフォームアプリ(仮称)等を開発する。21年11月にはジャパン・インフォレックスとパートナー契約を締結した。

 12月9日にはBtoBプラットフォーム請求書と三谷産業<8285>のChalaza(カラザ)とのサービス連携を開始したと発表した。12月15日には食品関連事業者とフードバンク活動団体をBtoBプラットフォーム商談でつなぐフードバンクコーナーのオープンを発表した。12月16日には請求書処理の業務プロセス改革を目的として鹿児島県奄美市と電子請求書(BtoBプラットフォーム請求書)の実証実験を開始したと発表している。

■利用企業数は増加基調

 売上高の約95%が月額システム利用料であり、利用企業数の増加に伴って収入が拡大するストック型収益モデルである。利用企業数は増加基調であり、継続利用率も高い。21年3月末時点の全体の利用企業数は56万6446社、事業所数は110万1158事業所だった。20年1月~12月の流通金額は12兆7295億円だった。国内最大級のBtoBプラットフォームである。

 20年12月にはBtoBプラットフォーム請求書の利用企業数が、サービス開始(15年1月)から5年で50万社を突破した。23年から導入される適格請求書保存方式(インボイス制度)も背景として電子請求書のニーズが拡大基調である。21年11月にはNEC<6701>にBtoBプラットフォーム請求書が採用された。また東京商工リサーチが実施した調査でBtoBプラットフォーム請求書が請求書クラウドサービス市場において国内シェアNO.1を獲得したと発表している。

■21年12月期減益予想だが22年12月期は収益拡大基調

 21年12月期連結業績予想(10月29日に上方修正)は、売上高が20年12月期比11.0%増の97億43百万円で、営業利益が36.1%減の9億40百万円、経常利益が35.4%減の9億41百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が47.8%減の5億29百万円としている。配当予想(10月29日に期末16銭上方修正)は、20年12月期比2円61銭減配の1円10銭(第2四半期末47銭、期末63銭)としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比11.6%増の71億54百万円、営業利益が13.7%減の9億08百万円、経常利益が11.9%減の9億21百万円、親会社株主帰属四半期純利益が18.3%減の5億85百万円だった。

 前年比は、新規契約数増加で2桁増収だが、ユーザー数拡大に対応したサーバー体制増強に伴うデータセンター費の増加、ソフトウェア償却費の発生、事業拡大に向けた営業および営業サポート人員補強に伴う人件費の増加など、先行投資の影響で減益だった。全体の期末導入企業数は64万1129社、事業所数は124万1830事業所となった。

 BtoB-PF FOOD事業は、売上高が3.5%増の51億07百万円で営業利益が16.4%減の16億66百万円だった。売上面は、受発注の買い手企業の新規契約数増加でシステム使用料およびセットアップ売上が増加したが、コロナ禍による飲食店の営業自粛・休業で食材流通金額が低調だったため、売り手企業の従量制システム利用料が前年並みにとどまった。

 BtoB-PF ES事業は、売上高が39.0%増の20億46百万円で営業利益が7億59百万円の赤字(前年同期は9億44百万円の赤字)だった。業務効率化やテレワーク進展などで請求書の新規有料契約企業数が増加し、増収効果で赤字縮小した。

 計画に対しては、新規契約数増加などで売上高が計画を上回ったことに加えて、原価のデータセンター費およびソフトウェア償却費が計画よりも低く抑えられたため、減益幅が縮小した。売上高は1億87百万円、売上総利益は3億15百万円、営業利益は4億50百万円、経常利益は5億22百万円、親会社株主帰属四半期純利益は3億14百万円、それぞれ上振れて着地した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が22億99百万円で営業利益が3億83百万円、第2四半期は売上高が23億94百万円で営業利益が3億23百万円、第3四半期は売上高が24億61百万円で営業利益が2億02百万円だった。データセンター費およびソフトウェア償却費が第3四半期に発生した。

 通期は従来予想に対して売上高が2億03百万円、営業利益が2億40百万円、経常利益が3億16百万円、親会社株主帰属当期純利益が1億04百万円上回り、従来予想に比べて減益幅が縮小する見込みとした。

 修正後の事業別の計画は、BtoB-PF FOOD事業の売上高が4.0%増の69億57百万円で営業利益が20.1%減の21億47百万円、BtoB-PF ES事業の売上高が33.6%増の27億85百万円で営業利益が12億10百万円の赤字(20年12月期は12億18百万円の赤字)としている。

 21年12月期は先行投資の影響で減益予想(10月29日に上方修正して減益幅縮小)だが、DXの流れも背景として利用企業数は増加基調である。さらにコロナ禍の影響が和らいで食材流通金額が回復基調であり、積極的な事業展開で22年12月期は収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

 株価は11月の上場来高値圏から急反落の形となったが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。12月16日の終値は995円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS2円32銭で算出)は約429倍、今期予想配当利回り(会社予想の1円10銭で算出)は約0.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS49円41銭で算出)は約20倍、時価総額は約2581億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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